アッシュの同調実験について解説します
まずは、上の画像を見てください。
A、B、C の内、どの線の長さが左の線(Target line)と同じ長さか分かりますか?
簡単ですよね。
しかし、アッシュの同調実験では、問いに対する正解・不正解が明らかな場合でも、自分の周囲の人々が不正解を選択すると、それに同調して自身も不正解の答えを選んでしまうという人間の傾向を証明したのです。
実験の内容
実験では、被験者(学生)に、上記の画像のような線の長さを比較する簡単な判断課題が与えられました。
しかし、実は被験者以外は全て実験者側の協力者(サクラ)で、わざと不正解の答えを言うように指示されていました。
被験者は、多数意見に反して、自分の目で見た正しい答えを選ぶのか、それとも多数意見に同調してしまうのか、という状況に置かれたのです。
実験結果と意味
実験の結果、被験者の約3分の1が、明らかに間違っている多数意見に同調して、不正解の答えを選んでしまいました。
この実験は、人間は集団に属すると、たとえそれが明らかに間違っている場合でも、多数意見に同調してしまう傾向があるということを示しました。
なぜ同調してしまうのか?
なぜ人は同調してしまうのか、様々な要因が考えられます。
- 所属欲: 集団に属し、受け入れられたいという欲求が働く。
- 評価への恐れ: 自分の意見が異なり、周囲から孤立したり、馬鹿にされたりすることを恐れる。
- 情報への依存: 自分が正しい判断をしているか自信が持てず、他人の意見に頼ってしまう。
実験の意義
アッシュの同調実験は、私たちの社会生活において、集団が個人の行動に大きな影響を与えることを示唆しています。この実験は、集団思考、peer pressure(同調圧力)といった概念を理解する上で重要な手がかりとなります。
実生活への応用
この実験結果は、様々な場面で応用することができます。
- マーケティング: 製品やサービスの宣伝において、多数の人が利用していることを強調することで、消費者の購買意欲を高める。
- 教育: グループワークにおいて、少数意見を持つ生徒が発言しやすいような雰囲気作りが重要。
- 組織: 組織内で、異なる意見が自由に発言できるような風土作りが求められる。
まとめ
アッシュの同調実験は、人間がいかに社会的な存在であるか、そして集団が個人の思考や行動に大きな影響を与えることを示す、非常に興味深い研究です。この実験を通して、私たちは、自分自身の思考や行動を客観的に見つめ直し、集団の中でどのように行動すべきかを考えるきっかけを得ることができます。
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